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2014年4月11日 (金)

東電のタンク建設計画は絵に描いた餅
サブドレンのくみ上げ水(汚染水)は排出を前提条件に

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(グラフ)東電のタンク建設計画のシミュレーション。いちばん上の茶色がタンク総容量、灰色の実線が汚染水の総量。これは4つの想定パターンのひとつで、地下水バイパスやサブドレンを「実施する」ことを想定するなどした、もっとも余裕のあるケース。しかしサブドレンのくみ上げ水は考慮されていない。


 東電は2014年4月4日、汚染水貯蔵タンクの建設計画の見通しを公表した。しかしこの計画の前提になっている条件は、計画を絵に描いた餅にしかねないものだ。東電は、汚染水が増える可能性のある重要な要素を考慮せずにシミュレーションを作っているのだ。

 タンクの建設計画は、旧原子力安全・保安院が12年7月25日に指示した「信頼性向上対策」により、半年ごとに規制当局に報告されている。今回(4月4日報告)の計画によれば、東電は2015年3月までに約80トン分のタンクを建設する。また東電は2016年3月までの汚染水貯蔵状況について、4つのシナリオを想定した予測を発表。東電のシミュレーションによれば、26年3月までの間、汚染水の総貯蔵量に対してタンク不足は生じないことになっている。

福島第一原子力発電所1〜4号機における滞留水貯留タンク増設計画の原子力規制委員会への報告について(平成26年3月時点)
http://www.tepco.co.jp/cc/press/2014/1235341_5851.html

 ところがこのシミュレーションは、極めて重要なポイントが抜け落ちている。海側遮水壁の建設と同時に実施されるはずの、サブドレンからの地下水くみ上げについて、くみ上げた水の行き先を考慮していないのだ。

 サブドレンの水は汚染されているため、くみ上げる時に除染装置で浄化をすることになっている。しかしその後、貯留するのか、排出するのか、東電は方針を明らかにしていない。4月4日の会見で東電の尾野昌之・原子力立地本部長代理は「十分、安全な基準を環境基準を満たすことを目標にしているが、そこからさきは今後の検討と思っている」と説明した。

 しかし東電が今回の計画を規制庁に報告した際は、サブドレンのくみ上げ水は、排出することを前提にしていると説明したという。また、前回の報告後に行われた13年10月31日の会見で、東電の今泉典之原子力立地本部長代理はNHK記者の質問に対して「シミュレーションではタンクに貯めることは考えてない」と回答。仮に貯留することになれば大きな影響がでることを認めていた。

 サブドレンは、建屋の浮き上がりや敷地の液状化を防止するために地下水をくみ上げる井戸。事故前は、1〜4号機周辺で1日に約850トンをくみ上げていた(3月31日の規制委「原子力施設監視・評価検討会」)。事故後は地下水が建屋に侵入しているためくみ上げの必要はなかったが、汚染水の海への流出を防ぐために建設中の海側遮水壁が14年9月に完成すると、行き場を失った地下水の水位が上がることになる。

 このため現在の計画では、サブドレンを稼働させることで水位上昇を抑えることになっている。サブドレンの稼働開始は、14年11月を目標にしている。仮に事故前と同じ程度の水量のくみ上げが必要になり、排出ができず貯蔵することになれば、約300日後に汚染水の総量は80万トンを超える可能性がある。

 この点について尾野本部長代理は、建屋へ1日に400トンの地下水が流入していて対策に苦慮している時に「850トンくみ上げて増やすのはまったくナンセンスなので、やらない」と説明した。

 しかしこの説明は奇妙だ。サブドレンを稼働させなければ地下水位は上昇する。このことにどう対処するのか。このことを聞くと、尾野本部長代理は、海側遮水壁とサブドレンは「施策としてはセット」なのでサブドレンを使うことを認めつつも、「行き先がない状態ならくみ上げるのは現実的にいみがある対応にならないので、それはしない」と、矛盾する説明を繰り返した。

 ではタンクに貯めない場合は、くみ上げた水はどこに行くのだろうか。ひとつは、現在、5、6号機の地下にたまっている水と同じように、敷地内に散水してしまうことが考えられる。しかし水量が数百トンにも達する場合、散水だけで処理するのは難しいだろう。

 では新たな海洋放出の可能性はどうか。このタンク計画が報告されたのと同じ日、東電は、地下水バイパスの運用に関して福島県漁業協同組合連合会(県漁連)から出ていた要望に対して回答をし、9日に地下水のくみ上げを始めた。今後は水質を確認しながら、5月中旬の放出を目指す。

 地下水バイパスは、汚染される前の地下水をくみ上げて海に出し、建屋への流入量を減らすことを狙っている。この汚染されていないことが前提の地下水の放出でも、県漁連など地元関係者の了解を得るまでに1年半以上の時間がかかった。汚染された地下水を浄化するといっても、海に放出するのは極めて困難というしかない。現段階では、関係者の理解を得るのは不可能に近い。

 つまりいまのところ、サブドレンからのくみ上げ水の最終的な処理方法は宙に浮いた状態になっている。タンクの建設計画で示されたシミュレーションは現実的とは言い難い。4月11日に規制委は、特定原子力施設監視・評価検討会に設置した「汚染水対策検討ワーキンググループ」で、タンク建設計画について議論することになっている。もし議題になるようであれば、議論の行方には注視が必要だ。


※4月13日追記
4月11日に開催された規制委「汚染水対策検討ワーキンググループ」で更田豊志委員は、東電のタンク建設計画に関して、「そもそも前提となる方針を議論すべき」と述べて次の点を指摘した。
「処理の途中段階のRO濃縮水は貯留以外にないが、サブドレンとか、ALPSで処理済みの水とか、方針をまず固めることが大事だ」
規制庁は、敷地境界で年間1ミリシーベルトの基準を守れるのであれば汚染水を含む滞留水の放出は法的には可能と考え、最終的に出すかどうかは東電に判断を委ねる方針。つまりサブドレンのくみ上げ水の浄化をした後、放射性物質が基準以下になれば海への放出もありうることになる。

規制委はこうした考え方の整理を、4月18日開催の「特定原子力施設監視・評価検討会」で行う予定。この時に東電から、タンク建設計画の中身の詳細が説明されるはずだ。ただし、結論がいつ出るのかは不透明だ。

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1章・脆弱な設備(仮設だらけでトラブル多発。ネズミ一匹で重要設備が停止したことなど)
2章・参院選まで公開されなかったデータ(海に出ているデータを隠した件)
3章・タンクから大量漏洩(東電の事故処理体制が劣化していることなど)
4章・海洋モニタリング(汚染水が海に出てたのは2年前にわかっていたこと、いい加減な東電の核種分析の問題と、汚染水対策の疑問。気象研究所の青山道夫氏のインタビューも)
5章・作業員が足りない(ミスによる事故の多発について。ツイッターで有名な「ハッピーさん」インタビューや中堅作業員が不足する懸念など)
6章・骨抜きの支援法(復興庁参事官のツイッター暴言事件、支援法の必要性と骨抜きの過程)
7章・東電の虚偽説明(うそついて国会事故調を妨害した件)
8章・過渡現象記録(事故原因が不明になっている問題、それを明らかにした元東電社員の木村俊雄さんのインタビューなど)
9章・「復興加速」の裏で(東電の総合特別事業計画と政府の思惑。復興加速は事故被害の極小化)

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