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2013年12月 3日 (火)

東電、裁判所の要求を拒否して文書開示せず〜「要求の妥当性は当社が決める」

20131202

 2013年12月2日、東京電力福島第一原発事故の被害者約2000人が参加する「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟原告団の代理人弁護士らが福島と東京で会見を開き、東京電力と電気事業連合会が福島地方裁判所の決定を拒否して、福島第一原発で起こりうる津波の試算に関する文書の開示を拒んだことに抗議した。

 弁護団の馬奈木厳太郎弁護士は「(文書の開示は原告からの)申し立てに応じて裁判所が決定して期限区切って求めたもの。それを拒否するとは考えたことがない。ありえない。あってはならないことで、極めて異例でかつ不当」と強い口調で訴えた。東電の広報担当者は同日夕方の定例会見で拒否した理由について、「当社から出さなくてはいけないということではないと考えているので、そのような結果になったと思う」などとコメントした。

 裁判所が提出を求めていたのは、東電が福島第一原発の事故発生前に検討していた福島第一原発および第二の各原発に関連する既往津波と想定津波、これらの津波に基づくシミュレーション結果、安全性評価の記載された文書一式。原告側はその例として、以下の3つの文書を示していた。
①文科省の地震調査研究推進本部(推本)の長期評価(2002年実施)を参考に、2008年に実施した明治三陸沖地震の波源モデルを使った津波評価
②1677年に発生した房総沖津波地震の波源モデルによる津波評価
③2008年に発表された「佐竹論文」に示された波源モデルを使った津波評価

 これらの津波評価は、政府事故調と国会事故調がそれぞれの報告書で分析し、関係者に対するヒアリングとあわせて検討した結果、東電は福島第一原発周辺に襲来する津波の高さが従来予測を超える可能性があることを認識していたにもかかわらず対応をとらなかったと指摘する根拠になった。

 日隅一雄と私の共著「福島原発事故・記者会見〜東電・政府は何を隠したのか」でも触れたように、東電は過去に何度も津波の試算をし、福島第一原発の防潮堤の高さを超える津波が発生する可能性があるという結果も出ていた。事故後の2011年8月には、政府事故調の調査の中で東電が2008年にいわゆる「佐竹論文」をもとに津波評価をした結果、高さが10mを超える可能性を認識し、翌年には保安院にも報告していたことが明らかになった。しかし東電は会見で、「あくまで試算」であり、設計上の対応をしなければならないものではないと認識していたと説明。「地震に関しては想定外」だったという見方を維持した。

 そのほか、2009年には国の総合資源エネルギー調査会で老朽化した原発の耐震性評価が行われていた際、産総研活断層・地震研究センターの岡村行信センター長が、東電の評価は869年に三陸沖で発生した貞観津波にまったく触れていないことを疑問視するなど、国レベルでも評価の甘さを把握していたことがわかっている。国会、政府の両事故調報告書は、これらの津波試算に関して東電や電事連から資料を収集、分析を行った。とくに国会事故調の調査は詳細で、東電や国が津波の危険性を認識していながら対策を怠ったと批判している。

 しかし報告書では、資料は一部分しか公開されていない。福島原発訴訟代理人の久保木亮介弁護士は、報告書にも記載はあるが「津波想定の設定方法は正しいのか、なぜ2008年や11年に試算をしているのか、もっと早くできなかったのかなどは試算の全体をみなければわからない」と述べ、関連文書をすべて分析することの重要性を強調した。

 原発事故被害者約2000人が国と東電に慰謝料などを求めた福島原発訴訟は、11月12日に第3回口頭弁論が福島地裁で開かれた。福島地裁の潮見直之裁判長は東電と電事連に対し、11月30日までに原告が求めた文書を提出するよう求める決定をした。すでに東電からは文書を提出する必要がないという意見が出ていたが、その意見を退けての決定だった。

 東電は11月28日に裁判所に回答を送付。「必要性がないと考えるため」という理由で提出を拒否した。しかしその理由は、裁判所がすでに理由にならないと判断した内容と同じだった。

 電事連も同日付で拒否したが、こちらは裁判所に提出した回答書で原告団長の名前を間違って記載。提出者は弁護士名ではなく、原子力部副部長の名前になっていた。そして拒否理由は「内部の者の利用に供する目的で作成」したものと説明していたが、久保木弁護士は「この理由は通常はプライバシーに関することで持ち出されるもの」だと批判した。

 同日午後5時半に始まった会見の最後で、この件について質問すると、広報担当者は「係争中なのでコメントは控える」と述べたのに続けて、「ただし、今後、裁判の中で要請問等あった場合は協力していく」と答えた。しかし今回は裁判所の決定を拒否している。繰り返し聞いていくと、回答はちぐはぐなものになった。

ーーー今回はなぜ協力しなかったのか
「そこも含めてコメント控えさせていただく」
−−−裁判の中で協力要請あれば協力するという話と矛盾する。どう理解したらいいのか。今回は裁判所からの決定を拒否している。
「当社から出さなくてはいけないと言うことではないと考えているので、そのような結果になったと思っている」
−−−裁判所の決定があっても、ださなくてもいいものは出さないということか」
「係争中のことなのでコメントは控えさせて頂く」
−−−確認だが、裁判の中で協力の要請があれば協力するという姿勢か。
「当社が、要請が妥当と考えれば出していくということかと思うが、細かい点については係争中なので控える」
−−−妥当と考える基準はなにか。
「それも含めて控える」
−−−妥当性は個々の裁判で変わるという理解でいいか。
「それも含めて控える」

 裁判所の決定を拒否しながら、協力要請があれば協力するというのは筋が通らない。出すかどうかは東電が妥当性を判断するというのは、会見で時折示す「情報を出す出さないは東電の判断」という姿勢と同じだった。

 会見で馬奈木弁護士は、裁判所が強い訴訟指揮を発揮し、改めて東電と電事連に指示するよう求めていくと述べた。また原告団は同日、経済産業省資源エネルギー庁に、東電と電事連に対して文書開示の指示を要求する申し入れ書を提出した。


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取材を続けるため、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

http://www.news-pj.net/request/2012/kinoryuiti-shien.html

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