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2013年7月 4日 (木)

人間の命に関する、東電の不適切な回答と不誠実な姿勢

 6月2日に朝日新聞は、30年以上前から有機野菜栽培に取り組んでいたキャベツ農家の男性が福島第一原発の事故後に自殺した件について、東電が原発ADR(原子力損害賠償紛争解決センター。裁判外での和解交渉の場)の仲介により賠償に応じたことを報じた。しかし東電は、遺族が求めていた謝罪を拒否したと伝えた。

原発事故後に自殺、農家遺族に賠償へ 東電、謝罪は拒否(2013年6月2日 朝日新聞電子版)
http://www.asahi.com/special/news/articles/TKY201306010245.html

 6月5日に遺族は都内で会見し、東電が謝罪に応じていないことを明らかにした。共同通信によれば、東電は謝罪について「容赦いただきたい」と書面で拒否。会見した遺族の樽川和也さん(37)は「会社として線香を上げてもらわないと、和解しても心が晴れない」と述べたという。

東電、和解後も謝罪せず 遺族「心晴れない」(2013年6月5日 共同通信)
http://www.47news.jp/CN/201306/CN2013060501001866.html

 東電はその後、謝罪要求に応じたのだろうか。いや、いまだに遺族が求める謝罪はしていない。それだけでなく、弁護団が抗議するような対応もあったことが明らかになった。人の命に関わる重大な問題に関して、東電が責任を曖昧にし、不誠実な対応を続けていることが改めて浮き彫りになったのだった。

 6月中旬の定例会見で東洋経済の記者は、謝罪に関する状況を質問した。東電は「確認する」と回答。しかし会見内での説明がなかったため、筆者が改めて質問すると、6月21日の定例会見で東電は、遺族の自宅に行って会社として謝罪をしたと説明した。さらに東電は24日の会見で、「(謝罪を)拒否したという認識はない」と回答。会見担当者は「6月6日にお詫びとお悔やみを申し上げた」と述べた。この時の説明では謝罪の場所が、自宅から弁護士会館に変わっていた。

 ところが場所の違い以上に問題は大きかった。会見から数日後、筆者が弁護団の馬奈木厳太郎弁護士に確認すると、「まだ謝罪はない」と言明。弁護団は7月3日に、公式会見で事実に反する説明をした経緯を明らかにするよう、東電側代理人に書面を送付したというのである。

 馬奈木弁護士によれば、弁護団は、どのような経緯で自宅に伺って謝罪という説明になったのか、その後の会見で誤りと明言して撤回したのか、弁護士会館で会って謝罪したというのはどのような趣旨なのか、謝罪を拒否したことはないという説明は東電代理人の書面と明らかに矛盾しているがどのような認識なのかなどについて明らかにするよう求めているという。

 馬奈木弁護士は東電への要求について、「言葉だけで曖昧にされないように、文書での謝罪を求めている」としている。しかしこれまでに東電が回答した書面には、『今回の事故でご迷惑をおかけした』などと書かれているだけだ。また遺族が記者会見をした後に、東電は代理人を通さず遺族に直接連絡をし、部長と現地職員による謝罪を申し入れ、日時まで決めようとしていたともいう。

 このような姑息ともいえる東電の対応に対して馬奈木弁護士は、「何について、どう責任をとるのかが明らかにならないといけない。しかも部長が謝罪(して終わり)というのはありえないと思っている。賠償金を払えば済むという会社の認識を改めるなら、自殺についてどう考えているのか、どのように遺族に詫びるのかを明らかにしないと受け入れられない」と述べた。

 7月3日の定例会見で東電の広報担当者は、お詫びをした場所の説明が変わったことや謝罪要求への対応について次のような回答をした。やりとりをそのまま掲載する。

−−−須賀川のキャベツ農家のご遺族への対応の件。お詫びとお悔やみを伝えたのは、自宅か、弁護士会館か。

東電:弁護士会館での会議の場(会見の翌日、遺族らが東電に対して謝罪を要求)でお詫びした。お悔やみを申し上げた。

−−−遺族からの要求にあったものを受け入れての謝罪か

東電:会社としてご遺族に対し、発電所の事故でたいへんなご心配おかけしたことを改めてお詫びしたと聞いている。

−−−要求は文書で謝罪をというものだったと思うが、それは受け入れてはいないのか

東電:我々としてはこれまでに、会社としてたいへんなご迷惑とご心配をおかけしていることについて、改めてお詫びを申し上げているということ。

−−−御社としては謝罪したという認識か。要望に対する対応はしたという認識か。

東電:会社として改めてお詫びの意をお伝えしたいとは考えているが、詳細については回答を差し控えたい。

−−−詳細というのは何か。

東電:これ以上の話については回答は差し控えたいということ。

 自殺したのは、樽川和也さんの父、久志さん(当時64歳)。前述したように30年以上前から有機野菜栽培に取り組んでいた。福島第一原発の事故後、政府が2011年3月23日に一部の福島県産野菜について摂取制限の指示を出した翌朝に、久志さんは自らの命を絶った。

 久志さんの自殺について東電は、6月6日の交渉の場で、“同社の代理人名”で「会社としてたいへんなご迷惑とご心配をおかけしておりますことを改めて心よりお詫び申し上げる」と遺族に回答した文書を読み上げ、これをもって謝罪要求に対する最終回答であるとした。7月3日の会見での説明は、まさにこの回答にならったものだった。

 復興庁の発表によれば、2013年3月31日時点での震災関連死の死者数は2688人で、そのうち約半数の1383人が福島県だ。他県に比べると圧倒的に福島県の数が多いことを考えると、避難生活がいつまで続くのかまったく見通せないことや賠償の問題、放射能汚染の問題など、福島第一原発の事故が直接間接に関係しているいえよう。

 この事態に対する責任を、東電はどのように考えているのか。自殺者の遺族への謝罪を拒否する姿勢は、関連死に対する責任をできる限り回避したいという思惑の現れにも見える。東電が現実を直視しない限り、被害者らの感情は宙に浮いたまま、行き場を失うだろう。東電は遺族に、二重の苦しみを与えているのではないか。東電の不誠実な対応は、いつまで続くのだろうか。

--6月6日の遺族と東電の交渉などを含む動画と文字起こしのリンク--
「原発事故による死者はいない」と言わせないため申し立てをしました6/6樽川さんと謝罪しない東電(文字起こし)(みんな楽しくHappy♡がいい♪)
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-3044.html

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