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2013年7月14日 (日)

重要データを隠し続ける東電 国会・政府両事故調にも提出せずか

2013071001データ公開の重要性を訴える木村俊雄氏。手前は同席した元東芝の技術者、後藤政志氏(日本プレスセンター)

 高知県在住の東京電力福島第一原発の元炉心設計技術者、木村俊雄さんが7月10日に都内で記者会見し、東京電力が福島第一原発の事故直後のデータを一部しか公開しておらず、地震では原子炉に影響がなかったとする東電の事故調査結果に疑問を呈した。会見後、木村さんは東電本店を訪れて、データの全面公開などを求めた質問書を手渡しした。回答期限は7月17日としている。

 木村さんが全面公開を求めたのは、福島第一原発に設置されている「過度現象記録装置」の全データ。木村さんによればこの装置は「飛行機のボイスレコーダーのようなもの」で、1〜6号機にそれぞれ設置されていて、異常事態が発生すると原子炉の水位、圧力、出力、温度、冷却水の循環状況などを100分の1秒単位でハードディスクに記録するという。

 東電は2011年5月16日に、当時の原子力安全・保安院からの報告徴収命令を受けて「東北地方太平洋沖地震発生当時の福島第一原子力発電所プラントデータについて」を公表。この中で過渡現象記録装置のデータの一部を公開した。その後、今年5月10日になって追加のデータを公開。「データをとっていたのが、たまたまわかった」ので、新たに公開したと説明した。

 木村さんは、地震によるプラントへの影響を評価するためには過渡現象記録装置の大量のデータを突き合わせることが必ず必要だが、東電の報告書ではごく一部のデータしか引用されておらず、根拠となる重要なデータが欠落していると指摘。プラントの主要データには、①原子炉出力、②炉心流量および再循環系データ(流量、温度、圧力、ポンプ速度、ポンプ振動)、③原子炉圧力、④原子炉水位、⑤原子炉温度、⑥給水系データ(流量、温度、圧力)、⑦主蒸気系データ(流量、温度、圧力)、⑧格納容器圧力の8点があり、それぞれが相関して動くものなので、事故調査は「最低でも上記8点の項目を同一の時間軸上に並べてプラント挙動を把握することから始める」が、東電の事故報告書はこうした評価をせずに結果だけを記載していると批判した。さらに、②の炉心流量および再循環系のデータがまったく開示されていないとし、地震の影響による「冷却材喪失事故がなかったというのであればデータを示して説明すべきだ」と述べた。

 東電は木村さんの質問書に関して「受け取ったのは承知している」(広報担当者)と述べているが、回答については「質問書の内容を確認して対応」するという。そして、各号機で80〜100種類以上の計測器の数値を100分の1秒単位で記録している過渡現象記録装置のデータの存在については、会見担当者の尾野昌之・原子力立地本部長代理が7月12日の会見で、「すべて保存している」と回答している。

 しかし尾野氏はデータの公開について、「今のところ(公表の)予定はない」と回答した。公表しない理由について問われた尾野氏は、会見で以下のように回答した。

−−−なぜ公表しないのか。

「私どもとして必要なデータは公表していると思っているし、その上でさらに国の検討会において必要だというものがあれば当然提供していくと考えている」

−−−必要なデータを公表しているかどうかは御社が判断することではない。なにが事故分析に必要かも、御社が判断することではない。世界の知見をという話をしているのだから、規制委だけではなく広い範囲に見せるべきではないか。

「ご意見として承る」

−−−必要はないという考えか。

「私どもだけの判断で出す出さないではなく、国の検討会がもたれているのだから、必要というお求めがあれば対応していきたい。現在の所、我々として対応したもの、すでに法令に基づいたものは出している。それに対して、これでは足りないからと言われているという状況ではない」

−−−国の判断ではなく、御社の独自の判断で出す出さないは決まると思う。報告徴収はもちろんだが、それ以前に御社の情報公開に対する姿勢として出す出さないの判断があると思うが、御社は出す考えはないということか。

「私どもとして事故分析に関わる必要なデータは公表させていただいていると思っている。そのうえで、まさに、我々の判断ではなく、規制庁のなかにもたれている検討会の中で、加えてこれが必要であるということがあれば当然対応する。提出したものは公表させていただいている」

−−−データはすべて国会事故調には全部提出したか?

「調査のために要請のあったものはご覧にいれた」

−−−要請があったものだけで、持っているもの全部ではない?

「そうだ」

−−−政府事故調は?

「いずれにせよ調査の内容は言えないが、お求めのあったものはご覧にいれた」

 事故分析に何が必要かは東電が自分たちで判断するというのである。また公表は東電だけの判断ですることではないといいつつ、東電は5月10日にデータのごく一部を“自主的に”公表している。つまり公表するかどうかは、全面的に東電の判断に任されていることになる。これは昨年の会見で、テレビ会議映像の公開について示した認識と、まったく同じだ。テレビ会議映像を非公開にしたことによって批判を浴びた反省を、現在の回答に見ることは残念ながらできない。

 木村氏は会見で、具体的なデータ名を提示しつつ、その数値がわからないとどんな事象の確認ができなくなるかを詳細に説明した。例えば格納容器内の配管破断の可能性を示す「床ドレンサンプ」の水位データについて東電は水位増加は見られないとしているが、東電の事故報告書で公表されているチャート記録では水位が増減しているため、過渡現象記録装置に残されているはずの、水をくみ上げるサンプポンプの運転記録を示さないと水位増加がないとは言い切れないという。

 木村氏は東電学園を卒業後、1983年に東電に入社。福島第一原発では燃料設計管理を担当していた。燃料設計とは、交換する燃料の配置、数などを最適化する仕事だという。また福島第一では、運転員が使用する原子炉の運転手順の指示書の作成にも携わっていたことなどから、過渡現象記録装置の詳細について知る立場にあったという。

 今のところ木村さんの会見について報じたのは、高知新聞ただ1社だけだ。しかしこのデータは、東電はもちろん、国会・政府の各事故調の調査結果にも影響を及ぼす可能性がある。規制庁・規制委は一刻も早く報告徴収命令を出し、すべてのデータを回収すべきだ。そしてマスメディアはもちろん、市民、議員らは、テレビ会議映像の公開を求めた時と同様、あらゆる手段を使って東電にデータ公開を求めていく必要がある。

 こうしたデータの検証なしに地震の影響がなかったとは言い切れず、原発の再稼働に必要な対策が十分であるかどうかの判断はできない。過渡現象記録装置のデータの検証をせずに原発の新基準を策定しても、中身の信頼性は確保できないだろう。

木村俊雄さんが東電に渡した質問書

https://docs.google.com/file/d/0B5jyJeiqBSmLRXpSQnlXcmE2VkE/edit?usp=sharing

東北地方太平洋沖地震発生当時の福島第一原子力発電所プラントデータについて(東京電力 2011年5月16日)

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/plant-data/f1_1_Setsumei.pdf

東電が今年5月10日に公表した「過渡現象記録装置データ」

http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/index10-j.html

※2013年7月15日修正

床ドレンサンプの記録は過渡現象記録装置ではなく、チャートの記録だったので、訂正しました。記録は東電事故報告書のうち中間報告の添付資料、6−1(13)「ドライウェル(D/W)床ドレンサンプ水位」にあります。
http://www.tepco.co.jp/cc/press/betu12_j/images/120620j0306.pdf

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取材を続けるため、ご支援のほど、よろしくお願いいたします。

http://www.news-pj.net/request/2012/kinoryuiti-shien.html

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