KINOs photo from Flickr

  • www.flickr.com
    kinoryu's items Go to kinoryu's photostream

PR

« 工程表が信じられないのは、情報開示が不十分だからだと思う件 | トップページ | 東電の責任を回避して被災地に作業と被ばくを押しつける、国の除染ガイドライン »

2011年7月21日 (木)

政府・東電の合同会見が週2回に減ることの問題点

7月19日に工程表が発表された翌20日、内閣府大臣政務官の園田康博氏から、平日に毎日実施していた政府・東電の合同会見を週2回に減らすという発表があった。理由は、工程表のステップ1が達成でき、原子炉の状態や対策も日々変更があるというものではなくなったというもの。

これに対し数社の記者から、いまだ汚染水浄化装置は不安定で、放射性物質は毎時10億ベクレルが放出されているうえ、福島の汚染状況に変わりはなく、避難者は帰宅できず、汚染牛の流通など新たな問題も発生している中で会見数を減らす理由はない、という反論が出た。もっともなことだ。

園田政務官の説明では、合同会見はもともと福島第一原発のプラント説明を主眼にしたもので、事故当初から東電と原子力安全・保安院の説明に食い違いがあったりしたことを受けて、情報を一本化するために実施していた。現状ではそうした齟齬も解消されてきているから、毎日の必要はない、ということだった。

しかし記者側は、説明の着眼点が違っていたり、一方で伝えられたことがもう一方では出てこないということが、今でも起きているという指摘があった。そうした情報の違いは解消されていないのが現状だ。

個人的な懸念は他にもある。第一に、会見に政治家が同席することのメリットが非常に大きかったと感じることが多々あった一方で、東電単独になると、いわゆる大本営発表のように適当な言葉でごまかすことが過去にあったことだ。直近の例では、遮水壁について、細野大臣は地下水への漏洩の可能性が否定できないため前倒しで着手するとしているが、東電の松本氏は今でもサブドレンの放射性物質濃度の発表の際には必ず「高濃度汚染水の地下水への漏出はないと判断してます」と言い添えている。

サブドレンの核種分析結果は、時々上昇したり、半減期の短いヨウ素131の濃度がなかなか下がらなかったりという、漏洩の可能性を示す数値も出ている。しかし東電は、濃度が上がったときは「瓦礫か雨水の流入」と説明し、漏洩を完全否定してきている。雨が降っていないときでも同じ説明だ。政府関係者の同席がなければ、遮水壁の必要性は否定し続けたのではないか。

損害賠償の方法等を検討している原子力損害賠償紛争審査会に対して、東電が賠償限度の配慮を直訴した時も、会見で説明を求められた東電広報は、単独会見の際に「文科省と協議のうえで要請した」としていた。けれども文科省はこの件を全面否定。合同会見では経緯を説明したペーパーを配布した。

それに今の合同会見は、当初のプラント説明の枠を超えて、もっと幅広い情報の一元化にプラスになっている。合同会見開始時から、細野補佐官(当時)が、自分の担当部署にかかわるモニタリング関係を所管している文科省と原子力安全委員会を同席させていたためだ。

例えば、学校の使用基準20mSv/年、政府側が100mSv/年以下は健康影響ないとしていたことの訂正、土壌汚染がチェルノブイリの強制退去エリアのセシウム濃度を超えている場所に対してなんの措置もとられていなかったこと、発電所の事故直後、作業員に対する安定ヨウ素剤の配布が不十分だったことなど、フリーや、各省庁の記者クラブ会見に出ていない大手メディア記者からの指摘で明らかになったことは多い。

週2回になると、僕のように毎日来ている人間は別にして、時々しか出席できないメディアはさらに出席できる機会が減ることになるだろう。それほどヒマな人ばかりではない。

園田政務官は、この会見に代わるものとして、原子力災害対策本部・原子力被災者支援チームの会見を設定することなどを考えているという。ここで、モニタリング関係や除染、食物、避難状況などについてはカバーできるようにしたいとしている。その他は、各省庁での政務三役会見や大臣会見で対応できるだろうということだ。

であれば、少なくとも次の機会が確保されるまでは、現状の情報発信を継続すべきではないか。園田政務官は、消費者にかかわる問題は消費者庁でも対応可能としているが、個別に記者が取材するよりも、テレビカメラの前での会見で問題点を洗い出した方が、話は早いし、そもそも消費者庁が原子力災害に関してどの程度機能しているのかにも疑問がある。今回の事故に関しては、これまで消費者庁が前面に出てきて問題解決にあたった記憶が、僕にはない。

また、合同会見は記者だけでなく、ネットを通じて毎日数万人の人たちが見ていることを考えると、直接的な情報発信の場として非常に重要なものではないかと思う。中には福島の方々も多いだろう。原発事故に関する報道がどんどん減る中、「一次情報を一カ所で確認することができる」という意味でも、非常に貴重な情報源だといえる。

手前勝手なことを付け加えると、各省庁単独の会見になると、フリーが自由に入ることが難しくなることも懸念材料になる。会見時間がだぶれば出席できない。そもそも原子力災害では、担当省庁が複数にまたがっていて、窓口がどこになるのかも定かでない部分がある。合同会見が一定程度、この課題をカバーしてきたのは紛れもない事実だ。

本質論でいえば、すべての関係事象を司っているのが内閣府の原子力災害対策本部なのだから、原子力災害対策本部で会見を実施すべきだと思う。それをしないから窓口が不明になり、問題をややこしくしているのだ。官房長官会見がこれに類するものになるだろうが、現実には原子力災害以外のテーマも含めての会見だから、事故対応としての役目を果たしているとはいえない。

情報の不足は、疑心暗鬼や無用な精神的負担を増やすだけではない。時には安全デマを振りまき、汚染牛拡散のように実質的な対応の遅れを招く要因にもなる。

以前、東電が日曜日午前中の会見をなくすと表明したとき、なにもなくても構わないので毎日定時に実施することが重要だと書いたことがあった。合同会見も、同じことがいえる。会見は、毎日、定期的に実施することで、原発事故に対する世の中の関心を維持することができるし、情報発信することができる。

現時点で回数を減らすことは、東電にとってはプラスだが、日本にとってはマイナスでしかない。賠償問題も解決しないまま、関心が薄れることで得をするのは東電だけだ。冗談ではない。いまだに避難所にいる人たち、福島で事故の直接的な影響を受けている人たちはもちろん、日本に住むすべての人たちのためにも、福島第一原発事故への関心を薄れさせてはいけない。

« 工程表が信じられないのは、情報開示が不十分だからだと思う件 | トップページ | 東電の責任を回避して被災地に作業と被ばくを押しつける、国の除染ガイドライン »

東電福島第一原発事故」カテゴリの記事

コメント

ごくごく単純な思考で悪いですが、会見を減らさないと作業に集中して回せない状況も関係しているのではないでしょうかね。それはそれで厄介ですが。

いつも貴重な情報ありがとうございます。無理のない程度に頑張って下さい!

 ツイッターでフォローさせて頂いておりますので、そちらでとも思ったのですが、私のPCの調子があまり良くなく適度に長くなりそうでしたのでこちらに書かせて頂きます。
 木野さんの活動を影ながら応援しております。そして参考にさせて貰っています。毎日、本当にありがとうございます。

 今日、私の車が車検から帰ってきましたのですが、そのときに車屋さんから聞いた話です。
 木野さんはもうご存知の事かもしれませんが。

 私は、新潟県の南魚沼市に住んでおりますが、ここは田中角栄さんの影響の強い土地ですので土建業が盛んでした。ですが、今は下降の一途で福島原発の事故当初からあちこちで「福島へ行けと言われた」という話を耳にしておりました。

「福島に行った人がね、」と話を切り出されました。
「とーっても放射能が凄いらしいな。(報道が)言ってるのなんかと全然違うって。酷いらしいな。だけど、防護服ってあるじゃん。あっけんが渡されたって、あれツナギだろ?皆、こうだよ(と、腰で結ぶ真似)で、こうだ(車の窓を開けて煙草をふかす真似)」
「え!?あぶないじゃん!!」
「げんが(そんなの)、着てらんねぇって!ここらからだと行くまでも時間掛かるろ?で、車持ってくと(ダンプとかトラックの事らしい)その分も出るしな。宿がちゃーんとあって、現場からバスの送迎付きでさ。一日5時間から6時間、それで13000円だぜ。着替え持ってくだけでいいんだと。向こうにちゃんと洗濯機もあってさ。で、10日働いて戻ってくるんだ。こっちで10日休んでまた10日行くだろ?雑費引いても27万にはなるんだ。俺もそのうち行こうと思ってるんさw」
「まぁ、アナタはガンになっても寿命と思ってもいいかもしれない歳だからねぇ・・(相手は50代還暦間近)」
「そーいがぁてぇ(そうだね)w。三食付いてるって言うしな。だけど、(周辺に)誰もいねーてがーよ。ほら、置いてかれた犬とかがたまにいるだけで」
「ああ、そうなんだ・・・そうだろうね」

 彼が聞いた話というのは、原発から瓦礫等を運び出す仕事の事みたいです。中じゃなくて外の運転手と言ってました。どこかの学校とか幼稚園か保育所のような所に運んでいたという話でした。
 なんだか、聞き捨てならん話のような気がしてコメント欄にですが、書かせて頂きました。

 日当13000円というのは、この辺りではよく聞く話です。
 これもこの周辺で聞いた話ですが、福島原発事故前の話で、原発人材派遣をしているという人が居酒屋をやっていて、そこで本人に聞いた話ですが「ホントは8万ぐらい貰うけど、間でいろいろ引かれてさ」と言ってました。夏場のいいアルバイトだからと、自分の息子の友人をあっ旋していたといっておりましたので、この人の人間性を疑いました。

 以上、既にご存知でしたら、読み流してくださいませ。
 これからも、ご活躍をお祈りしております。お体にくれぐれもお気を付け下さいませ。

 かしこ 

( ̄ー ̄)ニヤリ
 釈迦に説法・・・・・・・君の事だよ、リュウ君

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/560804/52267286

この記事へのトラックバック一覧です: 政府・東電の合同会見が週2回に減ることの問題点:

» 東電株が続落・・・ [原発問題・放射能総合まとめ]
1nbsp;名無しさん@涙目です。(長野県)nbsp;2011/07/25(月) 12:57:50.79 ID:Trgb6tHo0 BE:2871623-PLT(33876) ポイント特典 sssp://img.2ch.net/ico/anime_giko01.gif 東電株が続落、原子力賠償機構法案修正で不透明感-短期上昇反動も 7月25日(ブルーム…... [続きを読む]

« 工程表が信じられないのは、情報開示が不十分だからだと思う件 | トップページ | 東電の責任を回避して被災地に作業と被ばくを押しつける、国の除染ガイドライン »

2016年10月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

twitter

無料ブログはココログ