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2011年4月11日 (月)

原子炉のパラメータ数値を出さないことで不信感を拡大する広報姿勢の不思議

東日本大震災、福島第一原発の事故発生から、今日(11日)で1カ月になる。その直前の日曜日、東電本店会見室に集まる人数は目に見えて減ってきた。記者レクはあいか わらず、肝心なところがボケたような回答に終始。明確になるのは、瓦礫の片付け方法など原子炉の状況とは直接関係のないことが多い。

4月10日午前の会見(記者レク)でポイントのひとつになったのは、東電側が出してくる原子炉関係のパラメータ数値。ここのところ、例えば2号機圧力容器(RPV)のボトム温度や、1号機のCAMS(格納容器内の放射線量)データが空欄になって出てきていた。

空欄になりはじめた当初の説明は「データの信頼性を確認中」という理由だった。今日のレクでもこの点を再確認するようなものだったが、1号機のCAMSデータについて東電側が、「一度上がって、その後に下がっているなど、安定していないので出していない」と説明した。

これは明らかにおかしい。要するに、安定しているデータは出しているが、不安定になっているデータは出していない、というように受け取れる。これではデータの意味がない。この回答に数人の記者が噛みついたのは当然だろう。

この件に付随する形で、3月30日午後2時から空欄になり「不明」と記載されている2号機RPVボトム温度をどう評価しているのか、2号機は抜けているとは考えられないかという質問が出た。

東電の回答は「炉水位は安定、炉圧は確認できず、温度はRPVのノズルは高温になっているが、これは確認中。ボトムの温度は確認できない。高濃度の放射線を含む水が出ている。判断材料が乏しいので断定できない。状況はわからない。ある時点から大きく変化していないと考えている」というもの。

妙な話だ。少ないパラメータの中の安定しているデータを抜き出して「炉心は安定している」という一方で、高線量の水が大量に流出していたり、温度や炉圧が確認できなかったりすることについては、格納容器が損傷しているという判断材料にはしない。

これも数人の記者がかみつき、結局、圧力容器からは注入した水がほとんど流出していると推測できるということで、東電側、記者側の双方が合意した。

付け加えると、これまでのRPVへの注水量は、推計で、1号機が6700トン、2号機・1万500トン、3号機・1万200トンとなっている。ここで、格納容器の容量は2号機と3号機が約1万立方メートル、1号機はそれより小さい(発電量が小さい)ので、さらに少ない。

ここからわかるのは、もしRPVから水が流出して格納容器に流れ込んでいるとしても、注水量はすでに格納容器の容量を超えているということだ。つまり、現在注入している水は、ほとんどが外部に流れ出ていることになる。

ちなみにRPVへの注水量は、すべて毎時で、1号機・6トン、2号機と3号機が7トンなので、1〜3の合計で毎日500トンを注水していることになる。このうちどの程度が蒸発し、どの程度が水として溜まるのか、断定的なことはいえない。

けれども、どの号機でも格納容器の圧力に大きな変化がないことを考慮する(東電はよく「大きな変化はないので安定している」と説明している)と、蒸発しているというよりは、外に出ていると考えた方がいいのではないか(詳述すると、1号機のみはRPVの炉圧が少し他より高めなので、もしかしたら、他よりも少し損傷が少ないのかもしれない)。

そうした情報は、こちらで整理したものを東電に確認すると、時々、認めることがある。あとは話を逸らすか、決まり文句を繰り返すか、どちらかだ。東電側にしてみれば、素人の記者が数字を見て何がわかるものか、という思いもあるかもしれない。データが、見方によって結論に差が出てくるものだというのは分かるが、それを当事者に抑えられてしまうと、継続中の事象検討にも、また事後検証にも問題が出てくる。

そうした状況判断のベースになる情報を、事故の当事者が取捨選択して出すなど、言語道断ではないだろうか。こうした広報姿勢が国内外に不信感を生み、とくに海外で不安が増大している大きな要因になっている。東電と政府の広報姿勢が風評被害を拡大しているように思えるのだが、どうだろうか。

(追記)

4月11日付asahi.com に、こんな記事があった。

原発に追われる 信じていたのに 東日本大震災1カ月

http://www.asahi.com/special/10005/TKY201104100264.html

広報担当者の口から出てくる「誠心誠意対応する」という言葉とはかけ離れた今の東電の対応を見ていると、福島第一原発のある地元の人たち、福島第一原発で働く作業員たちすべてを裏切り、努力を踏みにじっているように感じてしまう。それが一番、腹立たしい。

今のままでは、福島第一原発の現場との温度差があまりにも大きすぎるように感じる。これでは不信感を増幅していくばかりではないだろうか。東京電力は一刻も早く広報方針、広報姿勢を見直し、「誠心誠意」本来の意味を感じられる情報公開をしてほしい。

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