KINOs photo from Flickr

  • www.flickr.com
    kinoryu's items Go to kinoryu's photostream

PR

« なぜ放射性物質を含んだ水を急いで海に捨てたのか?さっぱりわかない件 | トップページ | 原子炉のパラメータ数値を出さないことで不信感を拡大する広報姿勢の不思議 »

2011年4月 8日 (金)

放射性物質を含んだ汚染水の海洋投棄理由を明確に説明できない東電

4月4日午後7時過ぎ。東京電力は、放射性物質を含んだ汚水を海に放出し始めた。日本では初の決定を最終的に下したのは経産省。放出の根拠は「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」、通称「原子力等規制法」の第64条1項だった。

同法64条1項には、「原子力事業者等(中略)は、その所持する核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉に関し、地震、火災その他の 災害が起こつたことにより、核燃料物質若しくは核燃料物質によつて汚染された物又は原子炉による災害が発生するおそれがあり、又は発生した場合において は、直ちに、主務省令(注:今回の場合は経産省)で定めるところにより、応急の措置を講じなければならない」とある。

福島第一原発の場合に置き換えて簡潔に言えば、地震や津波などの災害によて原子力発電所の原子炉や貯蔵している燃料、放射性廃棄物が二次災害の危険を及ぼしたり、及ぼしている場合に、電力会社は経産省の省令による対応をしなければならない、ということ。

午後3時に東電の武藤副社長は経産省原子力安全・保安院に、現状報告とともに放出の必要性を連絡し、20分後に保安院が決定を下したと、東電は発表している。これにより東電は、4日夜から放射性廃棄物の海への放出を開始した。

64条を適用する理由について東電は、「緊急に対応する必要があった」としている。ところがこの「緊急性」の理由を、東電は明確に説明できないでいる。

今回の放出は、廃棄物集中管理施設に貯蔵している放射性廃棄物(放射性物質を含む汚染水)と、5/6号機原子炉建屋に付属している「サブドレン」という水抜き設備に溜まっている汚染水。どちらも、東電曰く「低レベルの放射能を含む」という水だ。

今回の放出要因のひとつが、現在、福島第一原発が抱え込んでいる多量の汚染水のうち、最高濃度を示している2号機タービン建屋に溜まっている水。現地で 持っている線量計の上限1000mSv/hを振り切る放射線を放っている。とても人間が作業できる環境ではない。この水が、ほぼそのままの放射線量を保ち ながら、海に流出している。

東電はこの水を、当初は同じく2号機タービン建屋内外にあるいくつかのタンクに貯めようとしていた。しかし作業現場の放射線量が高いなどで作業が進まな い。次の手段として、発電所内の放射能汚染物を処理する廃棄物集中処理施設のタンクに入れることを検討。ところがここには、もともと貯蔵していた汚染物質 が入っている。

そこで、すでに水に浸かっている4号機タービン建屋地下に、廃棄物集中処理施設内の汚染水を移送することを検討し、実行したと、東電は説明している。する と、隣接する3号機タービン建屋地下に溜まっている水の水位が上昇したため、両者の境界が抜けていると判断。移送を中止。

一方で2号機の水は緊急に移送の必要があるため、廃棄物集中処理施設の汚染水を海洋投棄することにした。これが東電の説明だった。

ところが詳細を聞いてみると、疑問が多い。

まず、4号機地下は行方不明者の遺体捜索で排水を進めていたのに、その時点で3号機地下の水位が下がったという報告がないのはなぜか。また3号機タービン 建屋地下は以前、750mSv/hという高い線量が記録されている所だが、筒抜けのはずの4号機地下の線量がそれより2ケタ低いのはなぜか。

緊急性に関しては、2号機タービン建屋地下から廃棄物集中処理施設に移送するための経路が確保されておらず、また実施見込み時期も不明な段階で、なぜ昨日 の放出(投棄)になったのか。放出後に時間がかかるのであれば、その間に他の手段を取ることはできなかったのか。できないとすれば、なぜか。

5号機、6号機に関してはさらに不思議なことが多い。

どちらも、放出したのはサブドレンという水抜き設備に溜まっている水。本来は地下水なので、放射線は検出されないが、現在は、10の1乗レベルのヨウ素 131が検出されたという。これも、10の6乗レベルの2号機に比べれば“低レベル”なので、海に捨てることにしたとのこと。

ただし、やはり緊急性は疑問。投棄の理由は、5号機、6号機建屋地下の発電機などの設備が水に浸かりそうだから、というもの。けれども現状を確認できるものはなにもない。東電は写真を撮っていないし、どのていどのスピードで水位が上がっていたのかも明確になっていない。

単に、「発電機などを周囲にある敷居(少し高くなっている部分)の上まで水がきているので、緊急に出す必要があった」という説明に留まる。サブドレンとの関係については「サブドレン内の水位が、建屋地下の水位より高いため」という。

けれども、実際にどこから、どの程度の水が入っているかという質問には「確認する」と繰り返すだけで、説明できない。ようやく出てきたのは、「鉛筆くらいの太さの水が、1分に2リットル程度出ているのを視認した」というもの。

では東電は、鉛筆ほどの太さの水が出ていることで、史上初の64条適用による放射性廃液の海洋投棄を実施したということなのだろうか? この点を聞くと、 「そうではなく、全体の水位を見て判断した」と。要するに、推察でしかない。この答えで納得するほど、我々はマヌケではないだろう。

64条などというものを適用するなら、徹底的な検証と、代替手段の検討をしなければいけないはずだ。また東電は、一時、サブドレンの水位が上がっているので建屋が不安定になる可能性がある。という説明も持ち出していた。どうもおかしい。

サブドレンは液状化防止のための水抜き穴なので、水があっても不思議ではないし、水位も上下するだろう。その水位が少し上がったから海に捨てるというのでは、今度も、何度も同じことを繰り返す可能性が高い。

そんなこんなで、放射性物質を含む水を海洋投棄した理由が、まったく納得できない。もちろん、この理由を保安院に説明し、保安院が納得したのなら、経産省や国に判断の責任がある。

こうした経緯の説明を、4月4日以来、ずっと東電側に伝えているのだが、「持ち帰る」「検討する」ばかりで前に進まない。抗議に来た全漁連へも詳しい説明はなかったらしい。

一方で東電や国は、米国には詳細を伝えているようだ。4月8日付東京新聞電子版(http://www.tokyo-np.co.jp/article /feature/nucerror/list/CK2011040802100013.html)には、3日前に通達し、了解を得ていたとある。

自国民には説明せず、米国に説明するのは、完全に日本人をバカにした行為に思える。説明の必要がないと思っているのだろうか。ふざけた話ではないか。付け加えれば、韓国、ロシアにも伝えていなかったため、各国から抗議を受けている。こうしたことを見ると、東電や国が、放射性廃液の投棄を、とても軽く考えているように思えて鳴らない。

また、海に捨てるという発表時、放出開始時期は、会見が始まったときには「明日(5日)」に放水開始予定だったのが、会見途中でメモが回ってきて「準備ができ次第」に変化。これが午後4時前で、その後、午後7時には放水が始まっている。

米国には伝えてあったのに、なぜ直前になってバタバタと事を急いだのか。前述したようなことから数時間、十数時間という時間の制約があったとは、とても思えないし、関係各所に伝える時間はあったはずだ。

2号機から1000mSv/hという極めて高い放射線を放つ水を止めるのに、3日もかけているし、米国には事前に伝えている。バランスが合わないにもほどがある。

この経緯説明のため、東電は責任者(武藤副社長など)を出すべきではないかという質問が何度も会見で出ているが、4月8日時点で、東電からはなんの回答もない。

« なぜ放射性物質を含んだ水を急いで海に捨てたのか?さっぱりわかない件 | トップページ | 原子炉のパラメータ数値を出さないことで不信感を拡大する広報姿勢の不思議 »

東電福島第一原発事故」カテゴリの記事

コメント

前略 木野龍逸様

不躾ながら、今USTを拝見しています。
66年生まれと聞いて、ビックリです。同じ丙午です。

さて、
一号炉の放射線、極めて危ないですよ 100SVです。
データが間違いならよいのですが・・・
http://atmc.jp/plant/rad/?n=1

京大の小出さんが、このUSTのうらで「再臨界」を論理的にやってます。
 
夜間のレクで、ツッコンデ下さい。

宜しくお願いいたします。

木野龍逸 様

再びすみません。
カンパ口座、トップに出して下さいね。
微力ながら、晩ご飯代にして欲しいです。
 
宜しくお願いいたします。

いつもニコ動やユーストリームで観ています。
本当におつかれさまです。

私は身体が不自由で、皆様の手助け等できそうもないので、
カンパをしたいのですが、どこでカンパすればいいしょうか?

ほんとわずかな金額しかできなくて恥ずかしいのですが、
毎月少しずつカンパを送らせていただきたいと思いますので、
送金先をお教えください。

また、まだカンパ等の開設がまだであれば、
ペイパルなどはどうですか?
サブのメールアドレスとクレジットカードあれば開設できます。
日本語でできますし、基本料、手数料無料なので、
大変便利です。

では、よろしくお願いします。

杉浦カズオ

前略 木野龍逸 様

こんばんは
連日の取材・追究、お疲れさまです。

今回は、燃料棒の健全性に論理的考察をしてみました。
追究の資料になれば、幸いです。


気体窒素の冷却機能

1. 問題提起:窒素パージで気体の冷却機能は担保されているのか?
       水位以上にあるとされる燃料棒の形状に関する疑問


2. 前提条件:
  2-1 炉心溶融(燃料棒の形状的崩壊=燃料棒は元の長さが残っ      ている)がないと仮定されている現在の一号機の冷却に際
し、水位はマイナスとなっている

  2-2 水位以上の燃料棒の冷却に関しては、低位の水が燃料棒と反
応した「水蒸気」が圧力容器に満たされているため、放熱効
     果により冷却機能を有していることとの東電の見解があっ
た。

  2-3 今回の窒素パージで、その水蒸気(酸素・水素)を追い出し
て置換しているので、圧力容器内の水蒸気はパージ前と比較
して少なくなっているはずである。 
      
  2-4 新たに生成される水蒸気は、一定の割合で増えるのである
が、窒素パージを継続して行う事により、水蒸気の割合は低
いまま押さえられる。


3. 疑問点: 気体窒素が水蒸気に勝る冷却機能がないと仮定すれ
ば、水位の上にある燃料棒の冷却が行えないのでは
ないか?

4. 結論: 上記条件の下に「窒素パージ」が行われているとする
と、水以上にある燃料棒の形状はもはや保たれていな
い、または形状を維持することを放棄しているのでは
ないか?

当然、水素爆発を防止する観点から窒素パージ作業が行
われていることを非難しているわけではない。 

5. この作業による影響: 

上記の内容が確認できれば、燃料棒はペレット毎、またはペレットも溶解・分裂して、圧力容器の底部または燃料棒保持ホルダーの下部に固まっているのではないか?
核燃料が一所に固まると、その形状から「制御棒」の効力を無くし、再臨界へと向かう条件が高まる。よって、再臨界の可能性を排除する方策が立てられているのかどうかが、大問題となる。

追伸:先日渋谷で、イオタが燃えちゃいましね(^o^) 本来なら、貴殿の絶好の取材材料でしょうが・・・

また、寄付金についてはいつでもポストを作って下さいませ。

名手 肇

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/560804/51333072

この記事へのトラックバック一覧です: 放射性物質を含んだ汚染水の海洋投棄理由を明確に説明できない東電:

« なぜ放射性物質を含んだ水を急いで海に捨てたのか?さっぱりわかない件 | トップページ | 原子炉のパラメータ数値を出さないことで不信感を拡大する広報姿勢の不思議 »

2016年10月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31          

twitter

無料ブログはココログ