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2011年3月31日 (木)

高濃度の放射性物質を含む汚水の処理が極めて難しい状況になっている

東京電力本社、3月30日0時15分開始の会見。ここでのポイントは、汚染された排水の処理方法だった。東電の説明では、1〜3号機のタービン建屋地下に溜まっている高レベルの放射線を放つ水を、放射線防護可能なタンクに移し、なんらかの形で処理するという。

ここでのポイントは、放射線防護可能なタンク容量と、処理可能な容量だ。処理をしなければ汚水は海に出続けるし、処理が不可能ならばどこかに貯蔵しておかなければいけない。

福島第一原発内には、さまざまな汚水貯蔵タンクがある。これらのタンクで貯蔵可能な量は、まず原子炉から出た水蒸気を水に戻す復水貯蔵タンクで4300トン(タンク容量9400トンだが残水が5100トン有)。 このほかに圧力抑制室の余剰分を貯めるSPTというタンクが6800トンある。ただし3月30日夜の会見で、SPTには半分ほどの残水があることが発表されたため、余力は3400トンになる。

つまり放射線量の高い汚染水を貯めることのできるタンク容量には、合計で約7700トンの余力があることになる。ところでトレンチ(坑道)に溜まっている汚染水の量は1〜3号機の合計で約1万3300トンと想定されている。つまり、現時点で約5600トンの汚染水の行方が定まっていないと考えられる。

ところで炉心の冷却のために注入している水の量は、3月29日の時点では1日で約520トンである。炉心の内圧に変化がないことを考えると、この水はすべて、外に流れ出していると考えていい。

タービン建屋の地下で発見された、高い放射能レベルの大量の水は、いまだにどこを通って出てきたのか不明なままだ。不明ではあるが、線量の高さから考えて、炉心の水の一部だと考えられている。海で検出されている放射性物質も、炉心の水が原因だ。

つまり、毎日520トンの水がタービン建屋地下や、その他のどこかに流れ込み、さらには海に流れ込んでいることになる。この水も、本来は収拾して浄化処理し、埋設するなりという処分が必要だ。しかしその手段は、いまのところ不明なままだ。

さて、3月30日夜の会見で、福島第一原発内にある集中環境センターが水没しているという発表があった。集中環境センターは、低レベル放射性廃棄物(日本原燃のHP参照)の処理や処分、一時貯蔵などをする施設だ。廃液の場合、1日に730トン(水換算)を処理することができる。これが水没したことで、汚水の処分が遅れるのではないかという観測記事が、新聞等に出ることが予想される。

けれども、集中環境センターはもともと、放射線量のあまり高くない廃液の処理を前提にした施設なので、2号機のタービン建屋地下にあるような1000mSv/h(ミリシーベルト)をはるかに超える放射線量の水を処分する能力があるわけではない。

なぜこの施設のことが今頃になって浮上したのか、東電では今になってアクセスが可能になったとしているが、不可思議な思いは残る。それはともかく、いずれにしろ処分しなければならない水の放射線量を考えると、この施設は最初から能力不足だといえた。

というわけで、いまのところ、冷却のために必須といえる残留熱除去系(RHR)を復活させるために必要な作業は、タービン建屋地下の高濃度に汚染された水の存在で足踏み状態になっている。もっとも、この水を排水でき、除染により作業が可能になったとしても、肝心のRHRは原子炉建屋の地下にあるため、今のところ作業ができる環境ではない。放射能が強すぎて、現場を確認することさえままならないのである。

その一方で、海の汚染は拡大しつつある。出所は間違いなく炉心なので、圧力容器や格納容器が損傷している可能性は極めて高く(東電幹部はいまだに、健全であるといっている)、冷却するための水は、入れた分がほぼすべて、外に流れ出ている。

流出の経路を知るためにはタービン建屋の核種分析が有効だが、なぜか東電は1週間以上も実施していない。いや、実施しているが、結果を公表しないだけかもしれない。なんにしても炉心を冷やし続ける限り、現在のように汚水の処理方法がなにもなく、漏洩経路も不明な状態では、海への流出を止める手だてがない。

わけがわからないことだらけだが、福島第一原発の状況が日々悪化していることだけは確実である。東電は情報を速やかに公開し、地元自治体や関係省庁、そして住民が判断できる根拠を示し、それぞれの行動をとれるようにすべきであろう。何が起きているのかわからない中、避難所で日々を送ることの精神的重圧を、東電幹部は知らなければいけない。

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コメント

木野さん、初めまして
いつも会見を見させてもらってます
みんなが本当に知りたがってることを勇気をもって質問していただきありがとうございます

木野さんはメディアの誇りです!
本当にありがとうございます

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