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2011年3月21日 (月)

エネルギー政策の都合で原発からの退避が後れているのだとしたら酷い話だと思う件

東京電力本社で、福島第一原子力発電所の事故に関する記者会見に出はじめて、3月20日で4日が経った。こうして会見を見て、担当者の様子や他の会見場での話などを総合して考えると、現状を真正面から見据えれば、福島第一原発が廃炉になるしかないのは明らかだと感じる。

東電は会見で「事故時には止める、冷やす、(放射能を)とじこめるが重要だが、いまは止めることしかできてない」としている。では次の冷やす、閉じこめるはどうかというと、極めて困難な状況といわざるをえない。

冷やすためには電源が必要だが、津波で全交流電源(送電線からの電気)を喪失し、なにを考えていたのか海近くに置いていた非常用ディーゼル発電機は津波でどこかにいってしまった。この時、同時に冷却水(海水)を取り込むポンプなども水浸しになってしまった。

そうしたわけで、福島第一原発は地震発生からしばらく、まったく電気がない状態にあった。その間、8時間だけはバッテリーで対処していたが、それも なくなり、炉心の温度上昇から水素爆発を招き、1号機と3号機は無惨な姿を晒している、今はなんとか、生き残った非常用のディーゼル発電機を復活させ、仮 設のポンプを動かして、かろうじて炉心の温度を安定させている状態だ。

しかし大量の使用済み燃料が入っている、1号機から4号機の貯蔵プールは冷やせていない。温度が上がって水が蒸発し、危険な状態にあると思われてい る3号機のプールには昨19日から消防庁が放水車で注水をしているが、被ばくを伴う作業にいつまで人員を投入できるのか、いずれは難しい選択を迫られるこ とになる。

3号機は、水素爆発の時に原子炉建屋内の使用済み燃料貯蔵プールが損傷した可能性が高い。同じく4号機のプールも、なんらかの理由で建屋が崩壊した際に水が漏れているのではないかと考えられている。

使用済み燃料プールの水は、常に循環させて燃料を冷却していた。使用済み燃料は、東電によれば炉心から取り出した後、19カ月以上をかけて運送でき る程度にまで温度を下げるという。ところが4号機の燃料には定期点検中のものが含まれているため、高い熱量を持ったままだった。

こうしたことから、3号機および4号機はプールの水温が上がり、蒸発していると考えられている。ところでプールの水は冷却だけでなく、燃料棒から出る放射線を遮る役割もしている。とくに中性子は、水、あるいはコンクリートで吸収、または遮蔽するしかない。

このためプールの水が減った3号と4号からは放射線が漏れていたと思われている。実際、東京消防庁による3号機への放水(プールへの注水)が始まっ た19日以降、周囲の放射線量が減少傾向にある。東電はこれについて、燃料棒のアタマより一定程度まで水が入ったのではないかと考えている。

しかし放水作業には、少なからぬ量の被ばくを覚悟しなくてはならない。ちなみに累積の被ばく線量は、平時には年間50mSv(シーベルト)、非常時には100mSvだが、今回は厚労省と経産省が250mSvに上げた。

作業員の被ばく線量が増えたことが理由ではないと関係者はいうが、ここ数日で東電の従業員7人が、100mSvを超えている。元東芝の技術者で、原子炉格納容器の研究開発に携わっていた後藤氏は、現場作業について「決死隊だ」と、涙を浮かべて語っていた。

被ばく線量が上限値を超えると、今後数年間は発電所で働くことができない。現場作業者たちは、無事に帰れたとしても、今後に課題を抱えることになる。。

そして現状を考えても、作業をするたびに被ばく線量がどんどん増えていくと、次々に新しい作業者を投入しなければならない。線量が基準を超えると、原発か退場しなくてはならない。つまり、原発の復旧が早ければ作業員も足りるだろうが、長期化すると確実に人手が不足する。

ではいつまでこの作業が続くのだろうか。

これが誰にもわからない。冷却は、燃料が冷えるまで続ける必要がある。今は、そのための電源確保作業を進めているところだ。しかし津波で破壊され、塩水をかぶった電気系を復活するのは容易ではない。

東京消防庁のハイパーレスキュー隊、富岡統括隊長は19日夜の記者会見で、作業の困難さを語り、隊員の状況を思い浮かべて涙を浮かべていた。百戦錬 磨の隊長が涙を浮かべる状況というのは、想像を絶するものであるといっていい。我々の想像を超えるほど、現場は凄惨なのではないか。

この状況に、いつまで東電は作業員を投入し続けることができるのだろうか。とはいえ現状で放棄すると、6基の原子炉すべてが崩壊する可能性が高い。東電も国も、可能な限り被害を抑えたいはずだ。それが作業員の犠牲を伴うだろうことは想像に難くないが……

しかし、そんなことが可能なのだろうか。被害を抑えるためには、電源を確保し、少しでも恒常的に動かせる冷却系を構築することだろう。なんとか冷やし続けることができれば、最後の瞬間は避けることができそうだ。

しかし最初に述べた「放射能を閉じこめる」のは、原子炉格納容器や圧力容器に破損の可能性があるため物理的に不可能な状態になっている。ギリギリのところでこらえているのは、人間が状況を見ながら注水作業をしてるためだ。

この、炉心への注水作業をやめると、炉心の燃料棒は溶融し、格納容器を破壊し、大量の放射能をまき散らす。もうひとつ、使用済み燃料貯蔵プールにつ いても、プールの水が漏れているとしたら永遠に注水を続ける必要がある。現場の放射線量はほとんど発表されていないが、だからこそ極めて厳しい環境になっ ていると想像できる。

使用済み燃料貯蔵ブールの水がなくなると、燃料棒が露出し、発熱し、被覆菅が溶けて燃料棒が露出し、やはり大量の放射能をまき散らす。使用済み燃料はプルトニウムを多く含んでいるため、放射線量は極めて高くなる。所謂ダーティボムである。

1基でも「閉じこめる」ことに失敗すると、現場に留まることはできない。誰も現場にいなくなれば、なんとか踏ん張ってきた他の原子炉も、続けて破綻 していくのは間違いない。つまり、いままでやってきた電源復旧作業の多くが、ムダになってしまう可能性があるのだ。もしその可能性が考えられるなら、今す ぐ避難区域を拡大すべきという政治家もいる。

20日現在で、5号機と6号機に関しては電源がある程度復活し、貯蔵プールや炉心の冷却作業に入っている。これにより炉心は温度や圧力が下がり、 「冷温停止」といわれる状態になっている。しかし冷却系は貯蔵プールと共用になっているため、これから先はプールと炉心を切り替えながら冷やしていく必要 がある。これも、人手がなくなれば破綻するため、楽観視できる状況ではない。

福島第一原発の経緯を示すと、地震→津波→交流電源喪失→炉心の温度上昇→燃料棒損壊→炉心圧力上昇→放射能拡散→水素爆発→貯蔵プールの水漏れ→放射能増加→作業が困難→作業後れ、ということになる。

もちろん、奇跡的に電源が復活し、冷却系や制御系が回復する可能性は、ゼロではない。しかし奇跡を待つまでの間に、被ばくする作業員は増え続ける。 そう考えると、避難の影響は計り知れないほど大きいとはいえ、いつか、結果的に避難せざるをえないのだとしたら、早いほうが混乱と被害を避けることができ るのではないか。

最後の判断は東電と国の協議で決めることになるだろうが、その時には、原子力一辺倒だった日本のエネルギー政策を根本から見直すことになる。とうぜん原発輸出計画も停止する。しかし、これが判断を遅らせている原因だとしたら、これほど愚かなことはない。

判断が後れていく間にも、作業者の被ばく線量は上がり続け、先行きの見えない避難者たちは疲弊していく。最高責任者には、懸命で早急な判断が求められているといえる。

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