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2011年2月 5日 (土)

改造EVビジネスは、いわれているほど簡単ではないのだと思う件

2011年2月3日、年に一度、輸入車が百数十台ほど揃って合同試乗会をするJAIA(自動車輸入組合)主催の試乗会に行ってきた。場所は大磯プリンス。1日で9台に乗って、ちょっと疲れた。けども、かなり楽しかった。

今日乗ったのは、小型車ではフィアット500アバルトにフィアット500のマニュアルトランスミッション、やシトロエン C3にDS3、それからポルシェ911カレラ、パナメーラ、ボクスター、ランボルギーニ・ガヤルドなどなど。そうしたクルマに混じって、最後に電気自動車、CT&Tの eZONEにも乗ってみた。ところがこの最後の1台が、少々くせ者だったのである。

eZONEに乗ってアクセルを踏んでみると、どうも思うように走ってくれない。ハンドルはフラフラするし道路の轍にのって走ってっちゃうことも。20数年前に免許取って乗った中古のサニーで、こんなのがあったなあと、妙なことを思い出した。それでも、まあ、このへんまではなんとか許容範囲。室内がペコペコなのも、まあ許容範囲だ。

そんなeZONEをころころと走らせていたら、電池残量が少なくなってきているのはわかっていたが、最後の赤い3目盛り(通常は緑で最後だけ赤い)になって2〜3km走ったところで突然ストンと止まってしまった。

それだけならば、まだいいが。

電気自動車のeZONE、電池電圧が下がって電池の保護回路が働くと、システムを落とすようになっている。ところが、システムが落ちるとハザードもウインカーも、もちろんライトもつかなくなってしまうのである。

夕方の国号1号線でストンと落ちて、ハザードもライトもなしてスローダウンしていくのは、ちょっと怖かった。パワーウインドーなので窓をあけることもかなわず、後続車に合図もできないから、危ないったらない。

その後、担当の人たちがクルマを引き取りにきてくれたが、想像にするにこのeZONE、補機用の12Vを持ってないのではないだろうか。

確かにEVなら、補機用12V電池を持たなくても、メイン電池からDC-DCという装置で電圧を落とし、補機類を動作させることはできる。けれどもこれをすると、メイン電池の電圧が落ちたときに補機類が心中してしまう。すると、緊急時の保険がなにもなくなってしまうのである。

道路を走行中にシステムが落ち、スローダウンする時に、後続車に知らせる手段がなにもないのは、極めて危険ではないか。ガソリン車でもそうだが、補機用12V電源は、メインのシステムが落ちた後でも使えるようにし、ハザードなど最低限の安全装置が動くようにするのが基本だろう。そうした手段を持たないeZONEの安全感覚には、大きな疑問を感じてしまった。

そんなeZONEの価格は、リチウムイオン電池バージョンだと225万円。まあ、好みはそれぞれなので、新しいモノが好きで、お金が余ってる人は買うのかもしれないが、はたしてそうした人の数は多いのだろうか。

というeZONEを見ながら思い出したのが、改造EVの世界だった。

eZONEはまさに改造EVのような手作り感満載のクルマで、前後進切り替えのスイッチとか、そのへんで売ってるようなものがついてる。手作りでもきちっと作れば、eZONE以上のものはできるのだけど、それはおいといて、、、

手作り感満載のeZONEは、まさに手作り感満載だからこそ、200万円以上という価格になる。ところで最近の日本では、改造EVを販売しようという取り組みが、テレビなどで時々紹介されて話題になってる。

この2つ、eZONEと改造EVビジネスというのは、よく似てるような気がするのだ。

改造EVは、当たり前だが手作りだ。原価は、中古の車体に電池、モーター、コントローラー、その他補機類等々。これだけでゆうに100万円は超える。リチウムイオン電池など載せようものなら、電池代だけでクルマが買えるくらいになってしまう。

そこに工賃を加えると、販売価格はeZONE並かそれ以上になるのは間違いないだろう。もともと改造EVは、安いクルマを販売目的で改造するというよりは、個人の趣味のようなものだった。そんな好き者が欧米日に多くて、自然に数が増えた。

例えば、市民団体、日本EVクラブの会員の人たちは、クラブ発足から16年ほどで合計300台以上の改造EVを作ってきた。そのうちの相当数はナンバーを取得して、公道を走っている。京都の人は、自作EVで10万km以上を走破した。

1990年代、カリフォルニア州でZEV規制という排ガス規制が議論されていた頃、アメリカを中心にEVブームのようなものが起こり、その中で改造EVをビジネスにしようというベンチャーもあった。USエレクトリカーという会社のように、ホワイトボディをメーカーから購入してEVにするというビジネスもあった。

けれども、そうした改造ビジネス、改造EV販売ビジネスは、なかなかうまくいってない。USエレクトリカーも、しばらく後になくなってしまった。

もちろん、趣味がこうじて個人からの依頼で改造EVを手掛ける人たちも、いなくはない。EVは、ガソリン車に比べれば構造がシンプルなので、ある程度のスキルがあれば改造するのはそれほど難しくないようだ。少なくとも私の知っている人たちは、そうしたスキルを持っていた。

そんなふうに改造(コンバート)EVを作ることができれば、旧いクルマをEVにして蘇らせることもできるし、クルマを長く使い続けることで資源をセーブすることにもなる。社会的にも大きな意味があるといえよう。

ただし、ここで混合してはいけないのは、こうした手作り改造EVの世界と、同じベンチャー製のEVではあるが、テスラ・モーターズが見ている世界は、まるで違っているということだ。これをごっちゃにすると、手作りEVの世界から第2のテスラが生まれそうな感じがしてしまう。

でも、これは錯覚だ。

テスラ・モーターズは、最初からバックヤードビルダーではなく、企業化を狙った組織作り、クルマ作りをしていた。そのために巨額の資金も集めた。創業者たちは、初期投資だけで数十億円を投入している。それでも2011年1月下旬までに1500台を納車するなかで、数多くの問題が発生し、現CEOのイーロン・ムスク氏は数十億円の個人資産を追加投入したりしてきた。

こうした問題を、テスラ・モーターズはその都度修正してきた。リコールもしたし、無償でトランスミッションを交換したりもした。その中で量産の難しさや、ガソリン車をベースにしたEVを作ることの困難さを学び、それが次のEV、モデルSをEV専用車として開発することにつながった。さらに近年は、デトロイトから大量の経験者を集めてもいる。その中には生産技術関連の人材も多いようだ。つまり、そこまでしないとクルマは作れないということがわかるだろう。

もちろん、テスラまでいかずとも、少量生産で成り立つ道はあるかもしれない。けれども、先に述べたように、原価だけで100〜200万円、販売価格はそれ以上になり、しかも仕上がりはヘタをするとeZONEのようになる可能性のあるクルマが、日本で売れるのだろうかと、いつも疑問に思ってしまう。

挑戦するのは尊いことだ。それがEV作りなら、社会的将来性もあるし、楽しいことだし、個人が趣味でやれば周囲の人たちにも大きな影響を与えるかもしれない。でもそれが今すぐ商売になるかと聞かれたら、僕は迷わず、NOと答える。

メーカーの技術者に話を聞いても、テスラ・モーターズの開発現場を見ても、クルマ作りがそんなに簡単なものじゃないことはよくわかる。ちょいと作った乗り物でも、場合によっては十分に人を殺せるパワーを持っていることを考えると、安易に人には売れないのではないか。

最近は、テレビなどで改造EVビジネスがもてはやされているような印象もあるが、クルマを作るのはそれほど簡単ではないし、人に売るための条件、安全性や品質保証まで考えると、少数しか作ることのできない改造EVを安くするのは、まず不可能だろう。仮に、そうした条件をクリアしないで販売するとしたら、あまりにも無責任だといわざるをえない。

そんなこんなで、eZONEの挑戦は評価できるのだけども、今のような状態のクルマを販売してしまうことには疑問を感じたし、手作りEVを商売にすることの難しさにも思いが至った、今日のJAIAの試乗会でした。マル。

でもポルシェとCT&Tを同時に乗れば、誰だって根本的な違いに気がつくんじゃないかなあ。それは値段だけじゃなくて。でも値段も、ボクスター600万円とeZONE225万円比べると、ボクスターってものすごく安いと思えちゃうのだ。同じ2人乗りだしね。

でわでわ。

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