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2010年11月23日 (火)

GMのVOLTはハイブリッド車だと思うけど、なぜGMがEVと強弁するのかわからない、の件

11月20日付の朝日新聞電子版(http://www.asahi.com/business/update/1120/TKY201011190583.html)が「GMは、補助発電機がついたEV、シボレーVOLTの日本での販売を検討している」と。

はて、と思う。電池で走るよりずっと長い距離を走れるエンジンは、“補助”発電機なんだろうかな? 補助は、不足分を補って助けるっていう意味。でもVOLTの“補助”発電機は、電池で走るよりもずっと長い距離を走ることができる。

もちろん、VOLTは電池がある間はエンジンを使わないようになってるけれども、距離が長くなれば(もっともVOLTが電池だけで走れるのは、25マイル〜50マイルなので、そんなに長くない)エンジン使用が前提だし、これを補助というのかどうか。。。

そうした考え方(ちょっと哲学的)の違いとは別に、システム構成としてもちょっと不思議なことがある。VOLTで使ってる遊星ギアは、エンジン出力を直接、車輪に伝達できることが効率向上のポイントで、プリウスはそうやって燃費を上げている。この領域を使わないで電気エネルギーだけを伝達するのは、ちょっとムリクリな感じがしてしょうがない。

シリーズハイブリッドは、大量の電池と、その電池の電力を補う大きさのエンジンが必要になる。でもこれをやると効率がひどく悪くなっちゃうのだ。シリーズハイブリッドを開発してきた人たちは、同じ壁に当たってる。

効率が落ちる要因は、そもそも発電機(内燃機関)の効率が、電気系(電池やコントローラー、モーター)の効率より悪いこと。効率の劣るパワーユニットで、効率の勝るパワーユニットを動かそうというのだから、なかなか厳しい。加えて、発電機のメカニカルフリクションも大きかったり、とにかくロスが多かったらしい。

初代プリウス開発でハイブリッドのシステム検討をした際、最後に残った10種類くらいの中にはシリーズハイブリッドも入っていた。でも最終検討開始後、一番最初に除外された。理由はたくさんの電池が必要だったことだと、当時の責任者は言っていた。

トヨタではプリウスとは別部隊で、シリーズハイブリッドの検討をしてた。クルマはコースターっていう小型のバス。90年代に市販もしたけれども、燃費が悪いし使い勝手が悪いしで、販売も開発も中止した。

使い勝手が悪いのは、高速を走ってると電池の減りが早くて電欠になっちゃうこと。高速走行すると電力消費が大きくなるんで、発電が間に合わなかった。クレームもあったらしいけど、当然だなあと思う。

実は開発陣はコースターハイブリッドのシステムを、都市部での使用を前提に考えていた。都市部なら負荷も低いし回生も多用できるから、シリーズでいけると踏んだらしい。けれども実際には、クルマはいろんな使われ方をする。小型のバスだって遠くへ行く。

というか、雑誌やテレビなどで、まとまった人数で撮影に行くときに頼むロケバスはコースターが多かったりするんで、僕から見ると、なぜ都市使用を前提にしたのかが不思議。完全に読みを誤ったっていうことなんだろうな。トヨタだって神様じゃなるまいし、間違えることもあるっていうことだね。という話を聞いたのは、トヨタの前の技術担当副社長、瀧本氏からだった。瀧本氏は当時、コースターの開発に直接、関わっていた。

さて、シリーズハイブリッドは他社も含めて今でもいろいろやっているけど、どうもあまりぱっとした話を聞かない。ガスタービンと組み合わせたシリーズのバスもあったけど、やっぱり燃費が課題だった。

話をVOLTに戻すと、もしVOLTがこうした課題をぜんぶ解決して、シリーズハイブリッドで低燃費のクルマにできたのだとしたら、すごいクルマだといえる。実際、VOLTのシステムについて自動車関係者の中には、アタマのいい人が、なんでもやろうとして作ったアタマのいいシステム、っていう人も複数人いた。けど、やりすぎたんじゃないかと。

いずれにしてもVOLTは、システム構成から見ても、それに恐らくは力学から見ても、ハイブリッド車じゃないかなと思う。なので、朝日新聞の記事のようにこのクルマを、テスラのような純EV(英語ではピュアEVとか、バッテリーEVと表現)と価格比較すると、ちょっとなあと思っちゃうんだな。

購入対象としてクルマのジャンルに関係なく価格比較するのはいいけれども、VOLTはEVだと断定して、EVと価格を比較するのはミスリードじゃないかな。どうせならプリウスや、プリウスプラグインハイブリッドと比べればいいのに。

それはともかく、個人的なVOLTのナゾはもうひとつ、どうしてGMがここまでEVにこだわるのかということ。この疑問の答えをどうしても推察できない。あるいは今回(11月18日)のIPOも関係があるのかとも思ったりしたけど、GMがVOLT(のものらしき)特許を申請したのは2年前だから、破綻するずっと前。もちろんIPOなんて関係ない。

今年初めの説明会に参加した人は「そういえば説明の最初に『NO HYBRID』って出してた」と。う〜ん、非常にデキのいいプラグインハイブリッドでいいと思うんだけど。それじゃ、ダメなのかな。

ムリヤリに理由をこじつければ、連邦政府のタックスクレジットが、VOLTには上限いっぱいの7500ドル適用されることとか。このクレジットの上限、本来はEVを想定してたりしたのかも、、、とか。ただの想像にだけども。

で、そういう性格の補助制度を、政府が大量の株(IPO前は61%だったかだけど、IPOで30%程度に低下)を保有しているメーカーがハイブリッド車で受けるっていうのは、見栄えが悪いと誰かが考えたのか。確かに疑惑を呼ぶ待遇ではあるけど、関係あるのか、ないのか??? 

なんにしてもGMが強弁する理由は、イメージが良くない、技術者のプライドがある等々くらいしか、思い当たらない。。。

それにしても、最初からハイブリッドだっていってしまえば、こんなに騒ぎになることもなかったのにと思う。どうしてこんなことに、、って感じではある。小さな齟齬が思いもかけず大事になったっていうことかもしれないけど、VOLTの件はまだ尾を引きそうで、GMはまだ、これからしばらくは対応がたいへんだと思うんだな。

【asahi.comの記事はすぐに削除されたりする可能性あるので、下記に引用します】

GMの電気自動車「ボルト」、日本向け販売を検討

米ゼネラル・モーターズ(GM)が、補助発電機がついた電気自動車(EV)「シボレー・ボルト」の日本での販売を検討している。日本市場での主な輸入EVは米テスラ社製で、約1300万円と高額だが、GMのEVは大幅に安くなる可能性が高い。日本勢のEVと同等の価格となり、販売競争が激しくなりそうだ。

 GMはボルトを4万1千ドル(約340万円)で年内に米国で発売し、来年後半に中国でも発売する。

 日本では、GM日本法人が来年に数台を試験的に輸入し、社用車として使うなどして日本の交通状況に合うかどうかを調べる。その後、ハンドルの位置を右に変えるなど仕様を日本向けに一部変更し、早期に一般向けに販売することを検討している。日本法人の石井澄人社長は「日本でも『ボルト』を求める声があり、販売を実現させたい」と話す。

 ボルトは電池に充電された電気でモーターを回して走行し、充電分の電気がなくなると、ガソリンエンジンで発電しながら走行する。

 日本では、国内の自動車大手が相次いでEVに参入。三菱自動車が軽自動車「アイミーブ」(398万円)を販売しているほか、日産自動車も年内に「リーフ」(376万円)を発売する。トヨタ自動車とホンダも2012年に発売する予定だ。(金井和之)

【ここまで引用】

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